離婚
★離婚の方法
離婚するには、以下の4種類の方法があります。
1)協議離婚
2)調停離婚
3)審判離婚
4)裁判離婚
●協議離婚
ご夫婦間での協議によって離婚する方法です。
財産分与、親権、養育費、慰謝料等の離婚に関する条件を協議により決定し、離婚届を役所に提出して離婚します。手続に裁判所は関与しません。
夫婦間で協議を行うことができるのであれば、もっとも早い離婚の方法といえます。弁護士はあなたの代理人として協議を行い、有利な条件で離婚を成立させられるように活動をすることが考えられます。
●調停離婚
「夫婦関係調整調停」を家庭裁判所に申し立てて、調停委員を交えて話し合い、お互い離婚に合意し、離婚調書を作成して離婚します。
調停期日は原則1カ月に1回程度で、スムーズに進まない場合には、1年くらいすぐかかってしまいます。
弁護士が調停に同席することで(場合によっては弁護士のみが出席することで)、調停委員に対しあなたのご主張を適切に伝え、調停を有利に進められるように活動をいたします。
また、調停が不成立の場合には裁判を行うことになりますが、離婚裁判を有利に進めるためにも、遅くとも調停の時点で弁護士にご依頼なさることをお勧めいたします。
●審判離婚
家庭裁判所での調停が不成立に終わった場合に、調停委員の意見などを考慮した上で双方に公平になるよう、家庭裁判所の審判官が決定する離婚です。
異議を申し立てることでその審判の効力が失われることから、実務上はほとんど使われていません。
●裁判離婚
離婚訴訟を提起し、裁判所の判決によって離婚する方法です。なお、法律上、離婚裁判の前に調停を経ることが義務づけられています(調停前置主義)。
離婚裁判は、訴状、答弁書、準備書面といった書面の作成・提出が必要であるほか、証拠の収集・提出や尋問手続など、専門性が極めて高い手続ですので、弁護士にご依頼される方がほとんどです。
★離婚が認められる原因
相手が離婚に応じない場合、あるいはあなたが相手から離婚を求められたが応じたくない場合、離婚原因の存在が認められない限り、離婚は認められません。
離婚原因は民法770条1項に定められています。
・不貞行為
・悪意の遺棄
・3年以上の生死不明
・回復の見込みのない強度の精神病
・その他婚姻を継続しがたい重大な事由
(上記の4つの原因以外で婚姻関係が破綻し、回復の見込みがない場合です。具体的には、暴行や虐待、犯罪行為、性格の不一致などがあります。)
★財産分与
財産分与とは、離婚するにあたって婚姻期間中に夫婦二人で築いた財産の分け方をいいますが、婚姻期間中に築いた財産は半分ずつ分与する、というのが原則です。
結婚してから二人で築いた財産(共有財産)が対象となりますが、婚姻時に既に所有していた財産(特有財産)は対象になりません。
★慰謝料の請求
離婚によって蒙った精神的苦痛に対する損害の賠償が慰謝料です。
離婚の責任が一方にあることが明らかな場合には(不貞行為の証拠があるなど)慰謝料の請求が認められますが、性格の不一致の場合などには双方に慰謝料が認められないことが多いです。
慰謝料の相場は一般的に100万円から300万円程度といわれていますが、金額は、婚姻期間の長短、離婚原因の期間の長短、精神的苦痛の大小といった事情をもとに決まります。
★子どもに関する諸問題
離婚の際に、
1)子どもの親権者を誰にするか
について定める必要があります。
2)子どもの養育費を誰がいくら払うか
3)親権者以外の親と子どもと面接交渉をどのように行うか
●親権
離婚に際し、子どもの親権者を定める必要があります。親権は、婚姻中は子どもの父母が共同で行いますが、離婚する場合には、父母のどちらか一方を単独の親権者と定めなければなりません(民法818条、819条)。
親権者を決める際には、子どもの福祉の観点から、誰が親権者になるのが適切か判断されます。実務上は、母性を優先するとともに、現状を尊重し、一定程度の年齢になると、子どもの意思も尊重されます。もっとも、多くの場合は母親が親権者となることが多いのが現状です。
●養育費
養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用です。一般的にいえば、子どもが自立するまでに要する費用で、衣食住に必要な費用、教育費、医療費などに充てられます。
養育費の金額は、実務上、夫婦双方の収入並びに子の人数及び年齢に応じた養育費算定表があり、これに当てはめて形式的に算出されています。
●面接交渉
面接交渉とは、離婚の際親権者と定められなかった親が、子どもと会ったり話をしたりすることです。
親は、親権者でないとはいえ、子どもの福祉・利益を害しない限り、子どもと面接交渉する権利があります。
実務上は、子どもの年齢や離婚に至った経緯などを考慮して、方法や回数などを決めています。
男女関係
★不貞(不倫)を理由とした慰謝料の請求
あなたの配偶者が第三者と不倫関係を持った場合、あなたは、配偶者とその不倫相手の2人によって精神的に傷つけられたことになります。これにより、配偶者と不倫相手は、共同不法行為により、あなたに対して連帯して損害を賠償する義務を負います(民法719条)。つまり、あなたは配偶者のみならず、不倫相手に対しても慰謝料を請求することができるわけです。
もっとも、配偶者やその不倫相手に対して慰謝料を請求したいと考えたとしても、その請求相手が不貞の事実を認めなければ、最終的には裁判所が判断することになります。その際には、慰謝料の根拠たる不貞関係を、慰謝料を請求する者(あなた)が立証しなければなりませんので、慰謝料の請求を考えるのであれば、有利な証拠をできるだけ多く集めることが大切です。
★内縁関係
内縁とは、実質的には夫婦と同様の生活を営んでおり、単に婚姻届を出していない点が法律婚と異なる生活実態をいいます。婚姻届を提出していない点以外は、提出した夫婦と同様に、同居義務、相互扶助義務、貞操を守る義務が課せられています。
とすると、双方が内縁生活を長期間継続することにより、その関係を解消するにあたっては、離婚の場合と同様に慰謝料や財産分与の問題が生じることがあります。